今年の2月、元ハイレグ総代の河原君から「20歳の有望な女の子が作演している芝居を観に行かない?」という誘いを受けた。
  正直、初めは河原君が気に入っているちょい可愛い女の子の芝居に一人で行くのもどうかと、私や野村朋子嬢と飲むイベントにすればいいという保険を掛けたのだと思った。
  私達もただ純粋に飲むためだけに集まる事は少ない。芝居は友達と会う良い口実だったりする。それは「メタリック農家」という劇団の第2回公演だった。
  しかし、小屋に入った途端あまりの混みように驚く。2回目の公演なのに、立ち見客までいた。これは、もしかすると本当に掘り出し物かも・・・と期待が高まった。
  そして、期待以上に面白かった。だが、次第に切なくなった。
  丁度劇団を旗揚げしようと思い始めた時だった。自分より一周りも若くスタートも早ければ作品もなんと立派な事か。旗揚げする前から自分にこの完成度の物は作れないと思った。
  ところが英ちゃんは「端役でもいいので、出たいです」と言ってくれたのだ。その芝居では彼女自身の出番は少なかった。だから、実際役者さんとしてのイメージは分からなかった。でも、こんな事を言ってもらえる内に是非出てもらおう! そして、困った事があったら演出面で色々アドバイスもお願いしちゃおう!と、出演をお願いする事にした。
  後日彼女が客演先で主役を演じているのを観た。私は再び驚いた。20歳とは思えぬ貫録と、演技力。芝居に関してはよく分からずに誘ったが、正解だった。